GRI通信vol.5【2020 お中元市場の変化】

5月25日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の終了に伴い、徐々に経済活動も再開されて各社一斉に中元商戦も本格化しました。この新型コロナウイルスの影響で、今までに体験したことのなかったステイホームなどから消費者の生活意識も変化し、今年の中元商戦に様々な変化がみられます。

■今年のお中元商戦にみるニューノーマル化

今年の中元商戦は、百貨店業界や大手スーパー業界をはじめとする各社で新型コロナウイルスへの感染防止対策が最大の課題となっています。

消費者も緊急事態宣言終了となっても、新型コロナウイルスへの心配は残り、まだまだ外出を控えている方も多いようで、この中元の季節も百貨店などに買いに行く方も例年より少ないようです。お店側も衛生面への配慮と共に3密対策のための入場制限や滞留時間の短縮や混雑緩和のため、あえて展示数を減らした異例の対応を行っているところもあります。またギフトセンターの展示スペースを縮小した分、承りスペースを広くとってソーシャルディスタンスを確保したり、お客様同士や販売員の間に仕切りを設けたりして、安心してお買い物を楽しめる環境を整備・確保した対応をしています。更に新たな試みとしては、店頭でのQRコードを使った待ち時間表示やダイレクトに注文できるアプリの提供など、IT利用の広がりも新たな一面といえます。

また、3密対策や巣ごもり消費への対応策として、各社オンライン販売の機能を強化し、品揃えや様々な特典を付加したり、新たなアプリ機能を充実させて店舗への来店をオンラインにシフトさせ、商機拡大につなげるネット戦略が一気に進展しています。

今年の中元商戦は新型コロナウイルスの影響で、オフライン(リアル店舗販売)、オンライン(ネット販売)共に例年と異なる様相を呈していますが、各社お客様への安心・安全を確保・提供する変わらない姿勢の継続と共に私たち消費者にとっての利便性は更に広がった様子となっています。

 

 

■新型コロナ禍で変わった今年のお中元商品

中元商品については、定番の酒類や食品などと共に例年様々な新しい企画

商品が登場していますが、今年は新型コロナ禍というキーワードが加わり、その内容にも変化がみられます。

特に外出ができない期間でしたから、国内の話題のスイーツから老舗の料亭グルメまで洗練された食ギフトを提案する「にっぽんうまいもの紀行」(大丸松坂屋)など、旅気分で全国のグルメを体験できるギフトがどの業態もトップランキングに掲げられます。また、「地方を元気に、日本を豊かに」をコンセプトに展開する47CLUB(伊勢丹)やふるさと納税サイト「さとふる」、飲食店への支援の意味も込めて「レストランギフト」(松屋)など、全国の食の生産者や飲食店を応援するという社会貢献も盛り込み、中元と共に紹介して人気を呼んでいます。

一方で、昨今上昇傾向にある“自分向けお中元”(自家需要)は、新型コロナ禍で「家ナカ(巣ごもり)消費」の増加で、前出の旅情感や小分けされた惣菜、賞味期間の長い保存食など、家族で楽しめてコミュニケーションがとれるものがトレンドとして例年以上に浮上しています。

現在、平均購入価格等は発表されていませんが、「1000~2000円代のギフトは昨年の約2倍に拡充」(京王)とも聞いています。このことからも購入単価は例年よりも減少となる見込み。前出の“自分向けお中元”も含めて、中元にもカジュアル化が深耕しているのですね。

【今年の中元商品の傾向】

1.生産者応援(社会貢献)や希少性・旅行気分等も含めた日本各地の「ご当地ブランドグルメ」。(三越伊勢丹、松屋、小田急、東急、東武、近鉄、京阪、イトーヨーカ堂、イオン等)

2.家ナカ(巣ごもり)消費にフォーカスした「簡単調理品・総菜」や「長期保存食品」。(高島屋、そごう西武、東急、イオン等)

3.環境・社会貢献、健康(運動不足)等を意識した「ヘルス&エシカル食品」。(高島屋、伊勢丹、大丸松坂屋、阪急、イトーヨーカ堂、イオン等)

4.ウイルスや菌対策の「衛生用品の詰め合わせ」。(京王、近鉄)

5.家で楽しめるものとして、「自分向けお中元」(自家需要)の訴求。

(京王、高島屋、小田急、近鉄等)

6.お手軽でカジュアルな「安価(1,000〜2,000円)なライン」。(京王)

上記の商品が2020年の中元トレンドとして浮上していました。

 

更に中元商品の内容以外に、まだ数は少ないですが新型コロナ禍がもたらした新たな傾向も登場しています。

【中元商品にまつわるその他な傾向】

1.非接触を意識し、パッケージサイズを工夫した「ポストに入るお中元」。(日本ハム)

2.注目を集める人物やトレンドセッターがお薦めする商品と共に「ライブコマース」を活かしたPR販売。(伊勢丹、阪神(ライブコマースなし))

3.市場ではコラボレーション商品の人気が継続していますが、中元商品ではあまり馴染みのなかったミュージアムや雑誌など、セレンディピティー(思いがけないものを発見・出会う)な「コラボ企画商品」が登場。(三越伊勢丹、リンベル)

これらは一部の企業展開ではありますが、中元だけにとどまらず、オンライン慣れした現代消費者には、今後ギフトのニュースタンダードとして定着していきそうですね。

■新しい日常のはじまりは、新しい「ギフトのチカラ」を感じるよい機会

やっと全国を対象に都道府県をまたぐ移動も解除されましたが、既に市場はコロナ禍で経済活動に大きな打撃を受け、まだこの先も危惧されています。しかし、全てが解除されてもウィズコロナが継続され、感染リスクも油断できません。このような時代だからこそ、日頃の感謝を伝えるギフトや新たに浮上してきた自分お中元(自家需要)等、再びギフトの楽しさを考えみるよい機会ではないでしょうか。また、供給側もオフラインとオンラインの相互の魅力を活かし、融合させて、様々な切り口から市場提案をして、“新しいギフトのチカラ”でこの苦境の時代を乗り切って参りましょう。