ギフトの知識 日本独自のギフト文化 – Ⅰ 『熨斗紙』

普段よく見慣れている「熨斗紙」(のしがみ)ですが、

そもそもその呼び名や使い方に間違いはなかったか?

また、毎回頭を悩ます「表書き」はどのようにすればいいのか?

慶事・弔事での違いは判っているつもりでいたけど間違いはなかったか?

そもそもなぜ熨斗紙を掛けるのか?… などなど

こうしてみると気になりますよね。

そこで少し調べてみると、これがまた歴史的にも古く、結ばれた紐「水引」とその右上にある紙を折って中に黄色い紙を入れた「熨斗」(両方とも最近は印刷)はセットのように思っていたのが、そのルーツはまったく別のものだったりと、へ〜ぇそうだったのかぁ!がいっぱいで、知らず知らずのうちに「熨斗紙の世界」にはまってしまいました。

しかし、「そんなこと、お店の人に聞けばいいじゃないか」今更別に知る必要もないことと言われてみればそうですが、この贈り物に“熨斗紙”を掛けることは世界広しといえど、日本独特の文化なのですよ。

故に今回のギフトの知識では、「日本独自のギフト文化」と銘打って、「熨斗紙」にはじまり「熨斗」「水引」と3弾に分けて掲載いたします。


まず第一弾の「ギフトの知識/日本独自のギフト文化」では、贈答品につきものの「熨斗(のし)紙」を取り上げてみました。

これは、贈る用途によって表書きも変わり、熨斗紙の種類も違ってきます。百貨店や贈答品を扱うお店なら、必ず熟知した人がいらっしゃるので、贈る用途・内容をご相談するか、お任せするのが安心ですが、自分で書く場合やこれから小売業に従事される方などは知っておくと役に立ちます。

まず、一言に「熨斗」(のし)といってもあの贈答品などの上、あるいは前面に掛けられる紙のことを指すのでは無く、あのリボンのように結んだ紐「水引」(最近は印刷ですが)の右上に付いている折り紙のようなものが「熨斗(のし)」(これまた最近は印刷)になります。

では、この名前を書いて贈答品に掛ける紙は何と呼ぶのかというと・・・熨斗が付いているものは「熨斗紙」(のしがみ)と呼び、お見舞いや弔事に使われる熨斗(のし)が付いていない水引だけのものを「掛け紙」(かけがみ)と呼びます。ついついこの「掛け紙」まで「熨斗紙」と呼ばれる方もいらっしゃったのでは?

ちなみに仕出し弁当などのお料理やお弁当にも熨斗紙が掛けられることがありますが、これは「膳掛紙」「折掛紙」と呼びます。

それでは、「熨斗紙」の部分をご説明。

◆ 熨斗紙の部位名称について

  • 熨斗(のし):熨斗袋や熨斗紙の右上についているものです。“祝儀”(お祝い事の儀式)にだけ使います。
  • 水引:水引は贈り物を結ぶ紐になります。紐といっても紙縒り(こより)に糊を引いて干し固めたものです。これには紐の色や本数などに決まり事があり、本数は3本、5本、7本、10本がありますが、一般的には5本、7本になります。結び方は、出産、入学などの慶事(おめでたいこと)用の場合、繰り返し祝いしても良いような時は「蝶結び」(写真の結び方)に、また、結婚、病気見舞いなどのように、一度きりでよいことには、「結び切り」(輪っかの無い結び方)を使います。「結び切り」は結んだ後紐を引っ張っても解けない結び方になります。「何度も結び直せない=一度きりでいい」ということです。
  • :“御祝い”など、どのような贈り物か?それを示すものが表書きになります。結婚、出産などお祝い事にもいろいろあり、また日頃の感謝を込めたお中元・歳暮などもありますので、これもまた内容によって表書きも代わってきます。
  • 名入れ:贈り主はだれなのかわかるように会社や個人の名前を入れます。ご夫婦、友人・同僚同士などで贈り物をするときは、連盟でもかまいません。

但し、連名は3名までとし、もし4名以上の場合は代表者の名前を中央に書き、その左側に「外一同」または「他一同」と書き添え、別紙に全員の氏名を書いて中袋に同封するようにします。そのとき、会社での連盟(3名まで)の場合は役職や年齢が上の方の氏名を中央に書き、以下、順に左へと連名にします。友人や会社の同期など役職や年齢に関係ない場合は五十音順で書きます。近年はバランスよく見えるように連名全体を中央に配置する書き方も一般化しつつあります。

また男女お二人の場合は「男性は右側、女性は左側」が基本になります。

後、熨斗紙/掛け紙ともに使う紙ですが、正式には和紙の一種である“奉書紙”(ほうしょうがみ)または“檀紙”(だんし)を使用します。こちらも楮(こうぞ)を原料として作られた縮緬(ちりめん)状のシワが入った高級和紙になります。

 

尚、慶事(おめでたいこと)用の熨斗紙には熨斗が付かない、水引のみのものもあります。お見舞いや弔事(お悔やみごと)に使用するものは、慶事ではないので熨斗が印刷(貼付)されていません。一般には“弔事用掛け紙”“弔事用熨斗紙”の名前で扱われています。

 

◆ 熨斗紙/掛け紙の掛け方 – 1    内のしと外のし

進物品の掛け方には「内のし」と「外のし」の二つがあります。

  •  内のし:贈るお品に直接“熨斗紙”(掛け紙も同じ)を掛けた後に包装する方法のこと。この品物に直接熨斗紙を掛ける「内のし」の方が格上となります。
  • 外のし:内のしの逆になり、お品を包装した包装紙の上から掛け紙を掛ける方法になります。

後、熨斗紙・掛け紙をつけて包装したときのルールとして、最後に“リボン”を掛けてはいけません。熨斗は「和」の慣習、リボンは「洋」の慣習ですからどちか一方という風に覚えておきましょう。

 

◆ 熨斗紙/掛け紙の掛け方 – 2  掛け紙の止め方

熨斗紙/掛け紙をお品にかけて後ろ(裏)で止めるとき、裏面で重なる場合は?

  • 熨斗紙(慶事/おめでたいこと)の場合裏面からみて右側の紙を上にします。これを“慶事掛け”と言います。
  • 掛け紙(弔事/お悔やみごと)の場合:慶事掛けとは逆に、向かって左側の紙を上にします。これを“弔事掛け”と言います。

 

その他 「短冊熨斗」(たんざくのし)

写真 短冊熨斗

お品全体に掛ける熨斗紙ではなく、熨斗紙を短冊(熨斗部分)にした“略式”の熨斗紙になります。

 

短冊熨斗を付ける場合“内のし”、“外のし”のどちらでの包装でもかまいませんが、場所はお品を正面にして右上に貼るようにします。

 

 

 

 

これで一般的な“熨斗紙”と“掛け紙”の使い方はご理解いただけましたでしょうか。

最後に、熨斗紙や掛け紙、金銭を入れるご祝儀袋や弔事用の不祝儀袋の “表書き”はどのように書いて、どのようなものを選べば良いのかをご参考までにまとめてみました。

・・・実際、この表書きで悩まれる方はとても多いのではないでしょうか。

【贈答目的による表書きと水引の使い分け】

慶事他の場合:※グリーン色はお返しの時

弔事他の場合:※グリーン色はお返しの時

せっかくの「感謝」の気持ちも、表書きや掛けの間違いで台無しになってしまいます。中々難しいものですね。

まずは、ルールを知って贈る方に失礼の無いように心がけましょう。

 

◆ 熨斗紙のいま

最近の熨斗紙や祝儀袋などにはモダンにデザインされたものが多く見受けられ、見ていても楽しくなります。気心の知れた友人などで介される“カジュアル ギフト”にお使いになると贈る側の個性も伝わって良いかと思います。ただし、正式な贈答の場合には使用しない方がいいでしょう。どうしても使いたいというならばお店の方に相談することをお薦めします。

また、祝儀袋などは中に入れる金額よって用いる、袋のデザイン(豪華さ)や大きさも変わってきますので注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフィカルでおしゃれでカワイイ、熨斗紙や祝儀袋が多く見掛けるようになりました。(haconiwa)

熨斗紙や祝儀袋にもいろんなデザインがありますので、収集しても楽しいかもしれませんね。

画像資料:

Illust Box : https://www.illust-box.jp/

366日の花個紋:https://www.hanakomon.jp/service/download/noshi/

haconiwa 世の中のクリエイティブを見つける届ける: https://www.haconiwa-mag.com/

 

ギフトの知識「日本独自のギフト文化-Ⅰ 熨斗紙」の最後に、昨今の手時間を省くために印刷された熨斗は、あくまでも略式の答形式にあたるため、改まったり物や正式なシーンには失礼に当たることがあると認識しておいた方がいいですね。

百貨店でも“贈る目的”ぐらいしか聞いてくれませんので、何でもかんでもサービスの印刷された熨斗紙を使われてしまうので気をつけましょう。

※正式なものは別途料金になりますが・・・。

 

いつもの慣習だからと、ただお品を贈るだけでなく“日本独自の美しい贈答文化”を知って、贈ることの大切さ・・・すこし忘れていたような気がします。

次回のギフトの知識「日本独自のギフト文化-Ⅱ」では『熨斗』(のし)についてになります。

 

<参考資料・出典>

Wikipedia、日本文化いろは辞典、アソビュー!のし(熨斗)の書き方、マナー、シーン別の活用方法、熨斗の世界、他