ギフトの知識
日本と世界のギフト事情を調べてみたら
No.2 『バレンタインデー』

日本は、世界的にとらえても“贈り物大国”といえます。そもそもお中元やお歳暮などの慣習をはじめ、その贈り方のルールなど、全くもって海外の方から見ると理解不能なとても不思議な国なのですよ。

じゃぁ、海外はどうなの?ということで今回の「世界のギフト事情」なるものは来月2月14日の一大イベント「バレンタインデー」について調べてみました。

海外では日本のように何かにつけて贈り物をする風習はなく、誕生日や結婚、出産といった個人的な記念日に贈り物をする方が多いのです。またカップル同士、つきあい始めた日や知り合った日などを記念日としてパーソナルなお祝いをすることが多いのです。昨今、日本もパーソナルギフトの需要が増えてきていますね。

それでは目前に迫りつつある2月14日のバレンタインデーについてみていましょう。

◆ バレンタインデーの由来は?

2月14日この日、日本では「女性から男性に“チョコレート”を添えて愛の告白をする日」(義理チョコもありますが)と、このことが前面に出てしまって本来の意味や由来をご存じの方は少なくなってしまいましたね。

そこで、本来のバレンタインデーの由来を知っておきましょう。そうしたら今年のバレンタインは少し変わるかも。

まず、“バレンタインデー”の呼び方ですが、もちろんこれでも良いのですが正式名称は “St. Valentine’s Day(英)/セイント(聖)バレンタインデー”とも表示され頭に “St.”(セイント=聖)が付きます。だから、キリスト教圏のお祝いになります。

由来ですが、元々269年にさかのぼります。その当時ローマ皇帝の迫害下で殉教した「聖ウァレンティヌス(バレンタイン)に由来する記念日」になります。

当時、ローマの2月14日は家庭と結婚の神でありすべての神々の女王神ユーノの祝日でした。当時若い男女は別々に生活していましたが、祝日の翌日15日には豊年を祈願する祭りがはじまる日でもあり、祭りの前日に若い女性たちは紙に名前を書いた札を桶の中に入れて、翌日の祭りの日に若い男性は桶から札を一枚引き、祭りの間のパートナーとして一緒にいることと定められていました。その後、パートナーとなった男女の多くが恋に落ちてゴールイン(結婚)となったのです。しかしローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、兵士たちが故郷に愛する人を残していると士気が下がるということで、兵士たちの婚姻を禁止したそうです。その婚姻を禁止され嘆き悲しむ兵士たちをみたウァレンティヌス(バレンタイン)は、彼らのために皇帝に内緒で結婚式を行っていましたが、やがてその噂が広がり結婚式をやめるように命令しました。

— 前置きが長かったですが皆さん、もうおわかりですね —

しかし、ウァレンティヌスはこの命令に屈せず、若い男女のために結婚式を続けたのです。結果、皇帝の命令に背いたために彼は処刑されたと伝えられています。彼の処刑日が女神ユーノの祝日2月14日で、この日をキリスト教徒にとっては恋人たちの日となりました。ただ、この由来については様々な異論や諸説もあるようですが、一般的にはこの由来が通っています。

ちなみに日本でバレンタインというワードが出てきたのが1956年で、1960年代初頭から徐々に市場に浸透してきました。この頃からバレンタインデーだけでなく、いろんな記念日にプレゼントをしたり、交換したりする習慣が盛んになってきました。

◆ 日本のバレンタインデーのなぜ? 欧米から見た不思議

日本のバレンタインデーは、欧米とは違った独自の展開をしています。まず日本でこの日は“女性が好きな男性に愛を告白する日”になっていますが、欧米では日頃の感謝や愛を込めて、恋人や友達、家族など男女関係なくお互いにプレゼントを贈ります。_最近ではご存じの方も多くなりましたね。

ではなぜ日本のバレンタインデーは女性から男性へチョコを贈るのか?というと、実は菓子メーカーに関係しているのです。

昔から日本では女性から男性へ愛を告白するのは抵抗(タブー)があったのです。

日本初、英字新聞「ジャパンアドバタイザー」に掲載されたモロゾフの広告(モロゾフHPより)

最初は、1935年に神戸のモロゾフ製菓が「ザ・ジャパン・アドバタイザー」(外国人向け英字新聞)で「あなたのバレンタインにチョコレートを贈りましょう」という広告を掲載したのがはじまりだそうです。さらに1958年に東京都大田区のメリーチョコレートカムパニーが「バレンタインにチョコレートを」のキャンペーンを展開したことで若者に浸透し、いまのような日本風バレンタインデーが定着していったといわれています。いまでは主婦層(既婚者)にまで広がって、この2月は一年で一番チョコレートが売れる月になっています。

日本のバレンタインデーは、商業的な戦略に上手くはまってしまったギフト文化なのです。PRを立案した人は凄いですね。

◆ 海外のバレンタインデーはどんなの?

前出にも書きましたが欧米のバレンタインデーでは、恋人や友達、家族などがお互いにプレゼントを贈ったり、交換したりして、互いの感謝の気持ちや愛を伝えるのが一般的となっています。

その贈り物には、日本同様にチョコレートもありますが、これといった決まりはなく、花やスイーツなどにカードを添えて贈り物をします。

最近、国内のバレンタインデーの贈り物もチョコレートだけでなく、様々な商品に広がっていますね。ただ“女性から”という慣習はいまだ受け継がれているのが残念ですね。欧米のように本来のバレンタインデーになればもっと消費活性化につながるのに・・・。

では、海外のバレンタインをみてみましょう。

♥ アメリカ

アメリカの2月14日のバレンタインデーは、パートナーへの感謝の日と共に好きな女性や男性に告白する日でもあります。基本的に老若男女関係なく祝う日になります。

好きな女性やパートナーには、花束(主にバラ)やジュエリー、スイーツ/菓子などにカードを添えてプレゼントします。他にはレストランで二人きりのディナーも人気。ここ一番!にお金を掛けるのは世界共通ですね。

特にアメリカのバレンタインでは“バラの花束”は重要なプレゼントアイテムなのです。また、アメリカでも日本と同じように“日頃の感謝”を伝えるという習慣はありますが、一般的にモノを贈るというよりも“サンクスカード”を贈るのが一般的です。また日本のような“お返し”という習慣はありません。

♥ カナダ

カナダも男女関係なく愛を祝う日になりますが、どちらかというと“男性から女性へ愛の告白の日”といった様子が強いようです。そのプレゼントの内容は、まず“相手が喜ぶモノ”を優先します。(贈り物の基本ですね。)そのためプレゼントは、バラの花束やスイーツ/菓子、アクセサリー、ワイン、コスメなどにカードを添えて贈ります。またコンサートやスパのチケットも人気があるようです。ほぼアメリカと同じようなスタイルになります。

♥ ブラジル

多く国が2月14日にバレンタインを祝いますが、ここブラジルでは6月12日になります。なぜかというとカトリック教の行事で、6月13日の「聖アントニオの日(Santo Antônio)」の前日にある「恋人の日(Dia dos Namorados)」がバレンタインにあたります。ちなみに聖アントニオは「愛の重要性」を説いた人で、男女を結びつけてくれる“結婚の聖人”とされています。

このブラジルでも、夫婦間やカップルでカードやプレゼントをします。また相手のいない人は、この日までに恋人を作ろうと頑張る人もいます。なんだか日本のクリスマスイブを迎える時にも似ていて笑えますね。

♥ メキシコ

メキシコは、男女カップル同士でプレゼントの交換がメインになります。プレゼントの内容はチョコレートもあるそうですが、ここでもカードや花束(バラ)、アクセサリー、ハード型のモノ(例:風船、クッションなど)と様々です。メキシコではどちらかというと男性からのプレゼントが多いようです。

またこの日は家族愛や友情を深める日でもあり、菓子やスイーツを互いに渡し合います。子供たちはお小遣いを貰えるチャンスもあるそうです。

♥ チリ

バレンタインではあまり聞き慣れないチリですが、こちらも男女関係なく愛を確かめ合う日になります。プレゼントの内容は前出のメキシコと同じで、男性からのプレゼントが多いようです。こちらも、この日に贈る花はやはり “バラ”になります。

次にヨーロッパのキリスト教圏のお国は・・・

♥ イギリス

まず最初にバレンタインデーにチョコレートを贈る慣習は、このイギリスが発祥といわれています。1868年に英国キャドバリー社が贈答用のチョコレートボックスや、ハート型のバレンタインキャンディボックスが人気となり市場に浸透していったそうです。どうやら日本もこれを参考にしたようですね。

さてイギリスでもバレンタインのプレゼントは男女の関係なく行われますが、バレンタインチョコの発祥地としてチョコレートは欠かせないアイテムです。また、この日は男女関係なく日頃の感謝と愛を確かめ合う日になりますが、男性が女性へ愛の告白をする日(最近は逆もありの様子)にもなっています。プレゼントの内容は、前出のチョコレートをはじめケーキや菓子、アクセサリーなどから、レストランでの食事やメッセージカードなど様々です。ただ花束(バラ)だけは、男性から女性へプレゼントするというスタイルになります。イギリスのバレンタインデーはどちらかというと“女性を喜ばせる日”といった方がいいかも。

ちなみに日本のホワイトデー(3月14日)のようなものはなかったイギリスですが、最近になって男性のための日 “Steak & Blowjob Day”というホワイトデーのような日ができつつあるそうです。

また、日本の花の繁忙期は“ 母の日”と “クリスマス”になりますが、イギリスではこの日がもっとも忙しい時期になり、バラの価格も高騰するそうです。

♥ フランス

フランスのバレンタインデーは、愛し合う夫婦や恋人たちという “カップル”が主役になり二人で「一緒に過ごす」ことが優先されます。もちろんプレゼントもしますが、アクセサリー、本、香水、セクシーな下着や、愛の言葉を書いたカードなど、チョコレートはその中のひとつといった様子で、男性はやはり花束が必須アイテムになります。対する女性は相手の嗜好品やお酒(シャンパンなど)を選んだりして一緒の時間を楽しみます。またお互い小さなプレゼントを用意して交換するカップルもいます。

この日にプロポーズする男性もいるようです。

♥ イタリア

バレンタインデーの発祥地イタリア! そうイタリア語で「サン・バレンティーノ」です。イタリア語でいうとなんだかお洋服のブランドみたいですね。
このイタリアのバレンタインデーは、愛し合うカップルたちの間で日頃の感謝や愛情を伝えるため気軽にプレゼントを交換します。どちらかというと男性から女性へといった様子になります。プレゼントもお決まりの花束(バラ)に定番のチョコレートやスイーツもありますが香水、アクセサリーと様々ですが、レストランで美味しいものを食べながらふたりの時間を過ごします。ただバレンタインデーの翌日には「シングルの日」というものがあったり、この時期はカーニバルがおこなわれたりとそちらに関心がいって、意外にバレンタインデーは冷静に過ごしているそうです。

さて、欧米から見てもっともおかしなバレンタインデーを過ごしているアジアはどうでしょう。

♥ 中 国

中国のバレンタインデーは、2月14日の“世界共通のバレンタイン”(西方情人节)と旧暦の7月7日の“恋人の日”(七夕情人节)の年2回あります。両日ともにプレゼントは、男性から女性へ贈ります。中国の記念日では女性から男性へ贈る習慣はありません。プレゼントの内容もバラの花束やチョコレート、アクセサリーにメッセージカードなど様々。

もうひとつ、日本でいう七夕の7月7日は、中国の伝統としてこの日は女性たちが果物などをお供えし、理想の相手と出会うことを祈願する日になっています。どちらにせよ中国の男性は大変ですね。

♥ 韓 国

韓国のバレンタインバスケット。

韓国でのバレンタインは、2月の一大イベント。この時期なると日本同様に食料品店の店頭にはチョコレートが並び、特設コーナーもできて販売されますが、普段チョコレートを販売していないパン屋やファンシー雑貨店などが一斉にチョコレート屋に変わります。常のトレンドフードをみても、この身代わりの早さは韓国らしいですね。

プレゼントは、チョコレートがメインになりますが、このチョコと小物アクセサリーや洋服、香水等々。日本と同じく女性から男性になるのでプレゼントの商品はメンズ用になります。因みに韓国ではバスケットにチョコレートをたくさん詰めて、その上からラッピングして贈るのが定番だそうです。日本のお見舞いに持って行くフルーツバスケットのようなイメージですね。

また、“義理チョコ”もあるそうです。日本のお隣だけに似ているところが沢山ありますね。

♥ フィリピン

フィリピンはクリスチャンが90%を占めるので、バレンタインデーは年齢を問わず男性から女性へ愛を表現する日として、また大切な相手に気持ちを伝える日となっています。とは言え最近では女性から男性へのアプローチもあるそうです。このバレンタインシーズンになると、多くの店先はハートや風船、ピンク、赤で飾られ一大イベントの様子がうかがわれます。プレゼントはバラの花束が多く、イギリスのようにこの時期は価格が高騰します。

チョコレートも人気ですが、アクセサリーやジュエリーなどのプレゼントに添えてあげる方が多いようです。後、“I love you”などの愛のメッセージが入った商品も人気があるそうです。またフィリピンの方はサプライズが好きなのでこの日に向けて準備をする人も多いと聞きます。男性も楽しんでいるようですが、女性のための日のようですね。

♥ インドネシア

個人的にもこの国のバレンタインに興味がありましたので調べてみました。ここインドネシアでは、ムスリム(イスラム教徒)が8〜9割を占める国ですので、キリスト教のお祝いとなるバレンタインは宗教上禁止しているのでは?と思っていました。今回調べてみると確かに地区によって禁止しているところもあるようです。ただ国全体でもバレンタインを祝う人は少ないようですが、最近の傾向として若者たちがバレンタインを楽しみの “一大イベント”として認知されてきたようです。

プレゼントは男性から女性へが多いそうですが、逆パターンもあるそうです。(いがいですね。驚きました。)さらに若者の間では、何とチョコレートと一緒にコンドームをプレゼントする文化も定着しているとのこと。(これまた驚きです。)さらにインドネシアのムスリムの女性は、バレンタインは否定しても、プレゼントは内緒受け取るのでOKだそうです。中東系ムスリムではありえないですね。インドネシアはアジア圏に感化されているのかなぁ。

 

こうして海外の国を調べてみると日本だけで無く、やっぱりアジアの国のバレンタインデーは少し特別ですね。

当たり前ですが、欧米では「義理チョコ」のような習慣は全くなし!!

また、バレンタインのお返し日のような「ホワイトデー」の習慣もありません。これらの慣習は海外の方からみて????なのですよ。

でも日本の「バレンタインデー」は、「恋愛/告白」に憧れる「女性」そして幸せ気分にさせる「チョコレート」、このワードをこの日のプロモーションにつなげたからここまで盛り上がったのでしょうね。チョコレート屋さん、凄いです。

後は、女性限定でなく男女関係なく愛と感謝の日になれば、もっと市場も潤うのに・・・。

最後に米国(アメリカ)のバレンタインビジネス市場について少しお話を。

◆ 米国のバレンタイン市場規模(推計)は、日本の約19倍!!

昨年1月に全米小売協会(NRF)が調査したバレンタイン動向調査によると、老若男女でバレンタインを祝う米国市場では、国民の約55%の人たちが何らかのお祝いをするそうです。

その贈り物内容も宝飾品や一緒に夕食、衣料品、キャンディー、花、ギフトカード、グリーティングカード、イベントやスパなどのチケットといった様々なサプライズを考えたようです。

驚くのは、この米国のバレンタインの支出額で1人あたり平均$196.31(約20,416円)で推計総支出額(市場規模)は$274億(約2兆8,496億円)で、日本のバレンタインの市場規模1,520億円(2020年度見込)で約19倍です。確かに今年は予想外の新型コロナ禍で市場支出は減少となったでしょう。しかし2019年度は$207億(約2兆1,528億円)となっていましたから日本の約14倍の市場を持っているのです。凄いビジネスマーケットですね。

※$1=104円。

国内バレンタイン市場規模金額については矢野経済研究所「ギフト白書2020」より。

今年もいまだ衰えぬコロナ禍で、テレワークやフレックスタイムなどで義理チョコも減少するでしょう。

ニューノーマルが常に移り変わる時代、ぼちぼち欧米のように2月14日は老若男女が関係なく、愛と感謝の日としてバレンタインデーを楽しめるようになるといいですね。

長文ながら最後までご高覧いただきまして有難うございました。また次回をお楽しみに。