果てしない北斎ワールドにようこそ

森アーツセンターギャラリーで開催されている「新 北斎展」に出かけました。誰もが目にしたことのある「神奈川沖浪裏」を含む「富嶽三十六景」を始め、20歳のデビュー作から90歳の絶筆まで国内外から集められた480件が出品されています。

作風の変遷と主に用いた画号により6期にわけて展示されています。緻密に描かれた風景画、咄本や読本の挿絵から、浮世絵師のイメージが北斎のほんの一部でしかないことがわかりました。肉筆の迫力、特に晩年の作品はぜひ、間近でご覧になって頂きたいと思います。

斬新な日本美術のスタイルは、西洋の印象派の画家のみならず彫刻家、工芸家、音楽家にも大きな影響を与えました。劇画やアニメのようでもありながら強烈なリアリティを感じる図案は、現代でもまさに未知との遭遇です。掛軸の龍が想像の生き物であることすら忘れてしまいます。

北斎は独自の画境を生涯に渡って追い求めています。100歳まで生きれば「神妙」の域に達すると長寿を願い筆を持ち続けたそうです。「画狂老人」が最晩年の画号です。その頃、100年の人生を考えた人はおそらく北斎だけでしょう。

m.o.